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Is there a light that never goes out?

1月に見た映画で印象に残ったもの

1月に観た映画

 1月も20本くらい観た。ずっと観たかった「ヴァージン・スーサイズ」「ゴーストワールド」が観れてよかった…。どのサイトでも配信されてないみたいだったしTSUTAYAに行ってもいつも誰かが借りてたから途方に暮れてた。結局待ってたらTSUTAYAで借りることができました。

傾向としてはクリントイーストウッド関連作品が多めだった。「ミスティック・リバー」「人生の特等席」「グラン・トリノ」。近々「許されざる者」も観てみたい。以下、印象に残ったものについて述べていく。ネタバレ注意。

 

ゴーストワールド

ゴーストワールド [DVD]

好きな人はすごく好き。響かない人には響かない。そういう映画だと思った。

というのも、限られた層からしか共感を得られなさそうだから。世の中に馴染めない、独自の価値観を持っている、皮肉的、厭世的、進路に迷っている・・・。そんな女の子が主人公であり、そんな人達のための映画といっても過言ではない。「ああ、この映画は自分のための映画だ…」と思った人もいるのではないだろうか。

 

冒頭が印象的。テンション高めな異国の曲が流れだして、それに合わせてノリノリで踊る主人公イーニド。初見で「えっ、なんだコイツ」と思ったけど、このシーンで映画全体のつかみが完璧にできていると思う。隣人たちが半ば呆けたような面持ちで緩やかな夜を過ごす一方で、片や踊り狂いながら自分の世界に浸る少女。この対比が劇的なのだ。周囲の人々とどこか異なるイーニドの人物像はここで比喩的に描写されているように感じた。

テンション高めな異国の曲っていうのはこれ。↓


Jaan Pehchan Ho - Mohammed Rafi, Gumnaam Dance Song

 

 イーニドは「世の中に馴染めない」女の子だ、と書いたがそれは正確ではないかもしれない。どちらかといえば「馴染む気になれない」「馴染みたくない」というベクトルのほうが近い。彼女は自分の趣味や価値観にこだわりを持っている。それゆえ町の人々が何も分かっちゃいないように見えるし皮肉的にもなるのだ。そしてこだわりがあったからこそ同じく自分の世界を持つシーモアに惹かれたし、こだわりを捨てきれなかったからこそ彼女は(レベッカと異なり)世の中とうまくやっていく将来を見出せなかった、のかもしれない。そして最終的には来なかったはずのバスに乗って彼女はこの世界から去ってしまう。

 

つくづく自分にぴったりの映画だった。僕もどちらかといえば趣味が人と異なる方であるし、斜に構えた感じの人間でもある。そして周りではみんなが就活を始めだしている。そういう時期なのだ。だから「ゴーストワールド」はこのタイミングのこの自分にもうドンピシャだった。そして絶望的でもあった。だってイーニドはそれまでの世界に残る選択をしなかったのだから。

 

で結局、「ゴーストワールド」とは何を指していたのか?またラストでイーニドはバスに乗ってどこに行ったのか?っていう疑問が生じてくるわけで…

個人的見解では、「ゴーストワールド」はそれまでイーニドが住んでいた町。イーニドにとって町はそのまま生きていく理由を見出せない空疎な「ゴーストワールド」だった。

そしてバスに乗って、自分に合った世界を求めに行った。

という感じかなと思ってる。きわめて適当な考察。

※追記

映画評論家の町山智浩さんが「ゴーストワールド」というタイトルの解釈について述べている動画を見つけた。普通にこの人の解説のほうが正しいと思う。現実を拒み想像に生きていたイーニドの世界が「ゴーストワールド(実体のない世界)」だった、という感じか。


町山智浩の映画塾!「ゴーストワールド」<復習編> 【WOWOW】#168

 

 

だらだらと述べたが、この映画で最も注目すべきはイーニドのファッションだと思う。とっても独特でキュート。

最後に、この映画から着想を得た、らしいsyrup16gの「透明な日」という曲を紹介しておきたい。僕は逆にこの曲を通して「ゴーストワールド」を知った。


【五十嵐隆】透明な日【生還】

 

 

グラン・トリノ

グラン・トリノ (字幕版)

すでに何回も観た作品。

僕はね、この映画が大好きです。

もうそれだけ伝われば満足です。

悪役がやたらチープな連中だったり、クリント・イーストウッドじいさんに何かとおいしい展開が多かったりと、少しご都合主義な映画かもしれない。

が、そんなことはまったくもってどうでもいい。

 

これはもう、ただのかっこいい老人の話なのだ。それ以上でもそれ以下でもないと思ってる。これほどかっこいい男の映画を僕は他に知らない。あったら教えていただきたい。

 

重い過去を背負った偏屈なじいさんが人種すら違う若い姉弟のために残りわずかな命を投げ打つ。文字にするとこれだけの話なのだが、何度観てもなぜか感動してしまう。

主人公コワルスキー役を務めるイーストウッドの冴えわたる演技が映画全体の魅力の源泉となっていることは否めないだろう。だがこの映画を観た後に訪れる感動は、コワルスキーや姉弟スー、タオについての丹念な人物描写があるからこそ生まれているものなのだ。だからこそ観ているものは自然にコワルスキーやタオに感情移入でき「この先彼らはどうなるんだ?」となる。そしてクライマックス、コワルスキーは堂々と敵の前に姿を現し自らを犠牲にし(このシーンのイーストウッドが本当にクール)、やがて静かなエンディングで幕が引かれていく…。まざまざと見せつけられる「死に様の美学」。もはや前後不覚。

 

こんな映画を観れば、さすがに他の出演作・監督作も観たくなる。そんなわけで自分は最近クリント・イーストウッドづいてるわけです。

 

おわり

1月に観た映画の感想を2月中旬に書く… 

もうだいぶ筆が遅くなってきてる・・・。来月くらいからはもう記事を書こうとすらしていないかもしれない。

ただ最近B級映画とかをよく観ており、それ関連の記事をまた別に書きたいなとは思ってます。