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Is there a light that never goes out?

12月にみた映画で印象に残ったやつ

12月に観た映画

12月は20本弱だった。U-NEXTの無料期間が終了しhuluに移行していく中ではあったが気になった映画を少しずつ鑑賞した。11月から注目していたグザヴィエドランの監督作「Mommy」や、ソフィアコッポラ作品を観て以来注目していた女優エル・ファニングの出演作「ジンジャーの朝」などは調べて探した上で観た。しかしそれ以外は単純に面白そうだから観ただけの映画である。この中で印象に残ったなーってやつについてダラダラ語っていく。

インターステラー

インターステラー(字幕版)

 クリストファーノーラン監督作。この人の「インセプション」とか「ダークナイト」あたりが非常に好きで個人的にスゴイ監督だと思ってる。

この「インターステラー」も結構有名な作品で名前はよく聞いていたのだが、しっかり観たのは今回が初めてだった。

感想としては、やっぱ面白いなーという感じ。複雑なストーリーなのに、観た者が素直に感動できてしまうようなパワーと勢いを併せ持った映画になってる。

一言でいえば、地球がやばいから移住できる星探しにいくぜ!っていう話なんだけど、内容はそう単純じゃない。移住プランを実現するためには解かなければいけない数式があり、それはブラックホール内部で入手できる情報がないと解くことができないのだ。このことが早い段階から分かっていた地球のおじいちゃん教授は移住プランを諦め人間の受精卵を生育に適した星で培養することを秘密裏に目標とする。

で、結局どうなるんだと思って観ていたら、終盤で主人公のおっさんがブラックホールに突入するではないか。ここら辺の映像は非常に迫力があって見ごたえがある。そして、その先で自分の娘の部屋と超次元的に繋がる空間へと辿り着いた主人公は、時計の針の動きを利用し、移住に必要な情報を大人になった現在の彼女に伝える。このシーンでやたら「愛」というテーマが強調されてるのが印象的だった。「愛だよ、愛」「愛が観察可能なら、何かで数値化できるはずだ(?)」。ここで視聴者は時や空間を超えた普遍的かつ偉大な家族愛を目の当たりにするのだ。なるほどこういう展開にもっていきたかったのかと、色々納得のいくクライマックスだった。

専門的で難解な内容、緻密で複雑なストーリー構成、であるにもかかわらず普遍的・情熱的なメッセージを感じられる良作だった。

個人的には、アメリアの「接近遭遇」のシーンが終盤で回収されるのがかなりエモくてよかったと思う。宇宙ってやっぱりロマンがあるよね。

 

Mommy

Mommy マミー [レンタル落ち]

これがグザヴィエ・ドランか。そう思わせる作品だった。

彼が主演・監督した「トム・アット・ザ・ファーム」を結構前に観てからというもの彼の他の作品も観てみたいとずっと思っていた。

「トム・アット・ザ・ファーム」という映画自体は特に面白いとは思わなかったのだが、監督を務めたのが若い主演男優当人だったのだと知ってからにわかに興味が湧いたのだ。自分とそう年も離れていないこの男は、恐ろしく繊細で独特な雰囲気を持つ映画を作り上げるのである。

それから最近になって「マイ・マザー(監督・主演)」「エレファント・ソング(出演)」などを観て、少しずつ彼の作品の傾向が分かってきた。リアルで重厚なヒューマンドラマが多く、同性愛をテーマの一つとしたものが多いのだ(彼自身が同性愛者らしい)。「なるほどなるほど、こんな感じなのか」と思いつつ次に観たのがこの「Mommy」である。

「Mommy」は面白かった。それまでのグザヴィエ・ドラン作品は「興味深く」はあったが「面白く」はなかった。(あくまで個人的に。)どことなく陰鬱なムードが作品全体に漂い、ラストになってもそれが解消されない。そんなイメージがあった。が「Mommy」は異なっていた。以前と同じく、それぞれが痛みを抱え時に衝突するような人間たちを描いたドラマではあるのだが、そうでありつつも突き抜けた爽快感を覚える場面がところどころにちりばめられているのだ。ずっと正方形だった画面が横に広がっていくシーンはその最たる例だ。


Mommy - Oasis, Wonderwall

ADHDという障害を抱え、思うようにいかない人生を送る主人公が「自分はこんなにも自由に生きているんだ」とでも言わんばかりに両腕を広げる。開けていく世界。

この演出自体もそうだけど、流れる曲がオアシスっていうのがまた瑞々しくていいね。イントロ、咳の部分から入れてるのがこだわりポイントか。

人によっては演出が出しゃばりすぎと感じるかもしれないけど、自分はこういう「見せ場」を作ってくれる映画、非常に好きです。

同じような演出は終盤にもある。主人公の母親の夢想する「理想的な未来」が美麗な映像で描かれるシーンがそれだ。ここでも画面は横いっぱいに広がる。このときのスクリーン比の変化は理想と現実との対比を可視化しており非常に効果的だ。


Mommy - Ludovico Einaudi, Experience (faux ending)

そして、やがてはまた現実に引き戻されていく。いやーエモい。

結果的にこの理想通りに事は運ばず母は断腸の思いで主人公を再び施設に入れることにするのだが......ありきたりなハッピーエンドで終わらないあたりがやはり「グザヴィエ・ドランらしさ」なのだろうか。僕はこの終わり方も結構好きだ。リアリティがあるしドラマティックだ。

全体を通して面白い映画だった。細やかな人物描写、劇的な演出、儚く美しい希望。これがグザヴィエ・ドランか......

また他の作品も見直したいな。

 

真夜中のパリでヒャッハー!

真夜中のパリでヒャッハー!(字幕版)

原題「Babysitting」。子守。

ぶっ飛んだ邦題だが、かなりいいセンスしてると思う。だって本当にパリの真夜中でヒャッハーしてる映画なのだ。字面の頭カラッポな感じが中身とマッチしてる。

www.youtube.com

あらすじは予告編のとおりである。

社長に子守を頼まれた主人公は社長宅で子供(クソ生意気)を甲斐甲斐しく世話しようとする。しかし、珍客たちがゾロゾロと現れやりたい放題…。夜が明けて社長が戻るとそこには無茶苦茶に散らかった部屋と一つのビデオカメラが残されているのみだった。いったい何があったのか?そして息子はどこに?社長夫妻はその謎のビデオカメラを再生することにしたのだった。......

特に前情報もなくタイトルだけが気になって観た作品。そのため全く期待していなかったのだが、普通に笑えるしストーリーも悪くなくて楽しめた。こういうおバカ系コメディって笑えればそれでokだと思う。非常に満足しました。

続編の「世界の果てまでヒャッハー!」もそのままの勢いで観たが、これもまあまあ良かった。相変わらずぶっ飛んだギャグが多いが、筋書き自体はあまり変わってない(残された人々がビデオに残された映像を観る展開)ので意外性は特になかったかな。くだらない映画が好きなら両方見て損はないと思う。

まとめ

12月も割と面白い映画との出会いが多くあって良かった。

改めて考えると自分は「ここが見所!」っていうのがはっきり決まってる映画が好きな気がする。インターステラーだとブラックホール突入後のシーン、Mommyは画面比が変化する所、シカゴはラストシーン、ジンジャーの朝なら「言ったら私が爆発する」と主人公が必死に堪える場面だ。映画鑑賞を通じて自分の趣味が分かってくるような気がして面白い。

1月、どれだけ観れるかわからないができればまた同じような記事を書きたいと思う。